7. 宣教活動(伝道活動)|エホバの証人とはーものみの塔の実態に迫る


7. 宣教活動(伝道活動)|エホバの証人とはーものみの塔の実態に迫る

伝道者の分類

エホバの証人の伝道者は、毎月伝道活動にどれだけの時間を費やすかによって、以下の四つのステージに分類されます。

特別開拓者:

毎月130時間を伝道活動にあてる伝道者です。一日6時間とすると週5日、完全にフルタイムの伝道者です。毎月組織からお金が支給されますが、かなりの少額であるため、大抵の特別開拓者は、各会衆の成員から物質面での助けを得ながら、とても簡素な生活を送っています。なお、特別開拓者として組織から承認されるには、伝道者としてそれなりのキャリアを積む必要がありますので、その人数は組織の中でも比較的少数です。

開拓者

毎月70時間を伝道活動にあてる伝道者です*[1]。一日6時間とすると週3日を伝道に費やす必要がありますので、フルタイムの仕事はできません。そのため、多くの開拓者は夫に養ってもらっている主婦か、アルバイトなどで生計を立てている人々であり、簡素な生活をしている場合がほとんどです*[2]

また、組織の中では大学へ進学することは奨励されておらず、アルバイトをしながら開拓者になることが模範的だとされています。

補助開拓者

一月あたり50時間を伝道活動にあてる伝道者です。この奉仕を希望する伝道者は、月ごとに申し込みをする必要があります。一日6時間とすると週2日。フルタイムの仕事をしている人の場合は、休日をすべて伝道に充てる必要がありますので、二ヶ月以上連続で続けることは容易ではありません。

なお、巡回訪問の月と、記念式キャンペーンの月は、月あたりの要求時間が30時間になりますので、その時期を狙って補助開拓奉仕を捉える信者が比較的多いです。

一般の伝道者

一般の伝道者であり、特に時間数のノルマはありません。日本の伝道者の月平均は10時間程度だと言われていますので、そのあたりの時間数を目安に奉仕時間を入れている伝道者も少なくはありません。

宣教活動の方法

エホバの証人の伝道活動は、「公式の証言」と「非公式の証言」に分類されます。

公式の証言

公式の証言とは、組織が取り組みとして公式に行っている伝道活動です。代表的なものとして、「戸別伝道」と「カートの証言」の二つが挙げられます。

戸別伝道(訪問伝道)

エホバの証人の戸別伝道|JW.ORG

エホバの証人の戸別伝道|photo by JW.ORG

組織の歴史の初期の時代から実践されてきた、エホバの証人のトレードマークとも言える伝道活動です。ものみの塔は、開拓をする全ての国において、この戸別伝道を必ず行うことにより、一定の成果を上げることに成功しています。

日本においても、第二次世界大戦後から協会の宣教者たちが入り、全国的な戸別伝道が展開されていきました。現在日本国内においては、ほぼ全域にエホバの証人の会衆がありますが、それは組織化された戸別伝道の際立った成果だと言えます。戸別伝道の聖書的根拠としては、以下の聖句がよく挙げられます*[3]

「そして彼らは毎日神殿で,また家から家へとたゆみなく教え,キリスト,イエスについての良いたよりを宣明し続けた。」(使徒5:42)

なお、昨今の日本では、戸別伝道の効果が、著しく停滞しています。原因としては、(1)エホバの証人の戸別伝道が既に日本社会で十分に認知されたこと、(2)それと合わせてカルト団体としてのイメージも広まったこと、(3)共働き世帯が増えて在宅率が減少したこと、(4)オウム真理教の事件以来、多くの日本人が新興宗教に対する警戒心を強めたこと、などが挙げられるでしょう。

カートの証言

カートでの証言|Photo by JW.ORG

カートでの証言|Photo by JW.ORG

近年、エホバの証人が力を入れてきている伝道方法です。戸別伝道の成果が乏しくなってきた多くの国々において、統計上、良い効果を挙げている方法となっています。日本においても、駅前でカートを用いて伝道しているエホバの証人が、大分認知されてきています。国や地域によっては、駅前だけでなく、人が集まりやすい様々な場所で、カートの証言が実践されています。

カートの証言の成果については、ブロードキャスティングのビデオ「世界各地で成果を上げているカートの証言」で紹介されています。

非公式の証言:

公式以外の全ての伝道活動を意味します。たとえば、家族や友人に対する伝道や、その他個人的に行うあらゆる伝道活動が、これに含まれます。協会による幾つかの公式の調査によれば、バプテスマを受ける人の約40%は、非公式の伝道活動から機会を得ていることがわかっています*[4]

熱心な伝道のモチベーションとなっているもの

「エホバの証人の伝道に対する熱心さ」の理由は、多くの外部の人々が気になっているテーマです。以下に、筆者の実体験や考察から、その理由として考えられる幾つかの点を挙げてみたいと思います。

「宣教が預言の成就になっている」という神学的認識

ものみの塔は、現代のエホバの証人の世界的な宣教活動が、マタイ24章における聖書の預言の成就だと教えており、多くの信者はそれを信じています。自分たちの行いが、エホバの預言の成就だという認識がもたらす影響は、実際に宣教活動に対するモチベーションに大きな影響を与えます。たとえ消極的な反応をされたとしても、「エホバのご意志を行っている」という認識は、多くの信者を励ますものとなっているのです。(実際に、このような神学的認識は、現役時代の筆者のモチベーションに大きく貢献していました。)

「王国のこの良いたよりは,あらゆる国民に対する証しのために,人の住む全地で宣べ伝えられるでしょう。それから終わりが来るのです。」(マタイ24:14)

「人々を救いへ導きたい」という利他精神

エホバの証人の教えでは、ハルマゲドンを通過して楽園に行くためには、エホバを信じ、ものみの塔の組織に従わなければなりません。そのため、多くのエホバの証人は、できるだけ多くの人が楽園へ行くことを願い、日々伝道し、「組織へ導く*[5]」ことができるよう励んでいます。

「宣教は自身の救いのためにも不可欠」という律法主義

エホバの証人の教えには、律法主義的な傾向があるため、「〇〇しなければ救われない」という認識を多くの信者が持っています。そしてその中に、「伝道をしなければ救われない」という理解もあるのです*[6]。結果として、全ての信者がそうではありませんが、利他精神からではなく、「自身の救いのため」という利己精神で伝道をしている人も一定数存在します。

「組織の中で良い立場(特権)を得たい」という思い

ものみの塔の組織の中で、監督や長老、奉仕の僕、開拓者などの「特権」を捉えている人は、そうでない人よりも良い立場を得ていることになり、それだけ重んじられることになります。そして、そうした特権を捉えるためには、多くの場合、定期的に、それなりの時間を伝道に捧げている必要があります。そのため、特権や周りからの評価を得るために、利己的な動機で伝道を行っている人も一定数存在します。

なお、イエスの弟子としてより多くの人に仕えるためには、結果的に組織の中で「特権」を捉えるしか道がありませんので、そのような理由から、正しい動機で特権を求めている人がいることも覚えておく必要があります。

記事一覧:エホバの証人とは?

  1. 基本概要
  2. エホバの証人の歴史
  3. 組織構造
  4. 教理(戒律)
  5. 偽予言
  6. 統計と動向
  7. 宣教活動
  8. 出版物・メディア
  9. 集会・大会
  10. 寄付制度と会計報告
  11. カルト性について

脚注

[1] より正確には、年間840時間を伝道に用いるのが開拓者の基準です。なので、半年フルタイムの仕事をして、残りの半年でフルタイムの宣教をする人もいます。開拓者と補助開拓者の違いとして、年ごとの誓約か、月ごとの誓約か、という点が挙げられます。

[2] アルバイトで生計を立てる開拓者の多くは、手取り8~10万円程度で生活していますので、その暮らしはとても質素です。また、生活費の節約のため、開拓者同士がルームシェアをする「パートナー生活」が推奨されています。

[3] ただし、この聖句を戸別伝道の正当性の根拠として用いるのは問題があります。

[4] 『王国宣教』1976年7月号、8頁。2010年8月号、3頁。

[5] エホバの証人同士の会話では「組織」という言葉が頻繁に用いられるのですが、それに伴い、伝道訓練の話では「イエスへ導く」ではなく、「組織へ導く」というキーワードが頻発します。このようなところに、JWの組織信仰を垣間見ることができます。

[6] もっとも、ある人がクリスチャンになった後でも全く伝道をしないのであれば、そもそもその人に救いをもたらす信仰がない可能性が高いです。重要な点は、クリスチャンが伝道をすることによって救われる、ということではなく、救われて信仰があるから伝道ができるようになる、ということなのです。


あわせて読みたい

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です