9. 集会・大会・記念式|エホバの証人とはーものみの塔の実態に迫る
集会(礼拝)
毎週の集会について
エホバの証人の集会(礼拝)は多くの場合、「王国会館」と呼ばれるエホバの証人の建物で行われます。ブロードキャスティングのビデオ「王国開館にお出で下さい」では、王国会館と集会の様子が短く紹介されていますので、行った経験の無い方は、一度ご覧になってみることをお勧めいたします。
集会の頻度は、平日と週末に、それぞれ一回ずつ行われますが、以下に、その具体的な内容を紹介します。なお、週に二回の集会の出席は、全ての信者にとって極めて重要なものと見做されています。もしも、仕事の都合で定期的な参加ができない場合は、参加する曜日や時間帯を調整するのではなく、仕事を調整することが推奨されます。
週末の集会|公開講演とものみの塔研究
プログラムの流れ
週末の集会は、大抵日曜日の午前か午後に行われますが、会衆によっては、土曜日の夕方や夜に行われる場合もあります。集会のプログラムは、以下のような流れで進行します。
- 賛美の歌
- 祈り
- 公開講演(約30分)
- 賛美の歌
- ものみの塔研究(約1時間)
- 賛美の歌
- 祈り
公開講演
エホバの証人の大抵の集会では,毎週,聖書の一つの論題による公開の講演が取り決められています。時間は約30分程度であり、長老か、奉仕の僕が講演を扱うことができます。公開講演の内容は、基本的に組織が用意している筋書きに沿って、講演者が話すよう取り決められていますので、語られる内容が極端に組織の教えから外れることは、まずありません。以下に、組織が用意している公開講演のタイトルの実例を複数ご紹介します。
- 愛の神が悪を許しておられるのはなぜですか
- 死によってすべてが終わりますか
- 永遠に生きることは可能ですか―あなたは永遠に生きますか
- 終わりが近づいた今、賢明に行動しなさい
- あなたは福音宣明の精神を抱いていますか
- 神との交友、世との交友-あなたはどちらを選びますか
- エホバとキリスト―三位一体の一部ですか
ものみの塔研究
公開講演の後に、毎週約1時間かけてじっくり行われるのが、ものみの塔研究です。毎週の研究の内容は、前もってものみの塔誌(研究用)で掲載されており、全ての信者は、予習をしてからものみの塔研究に臨むよう勧められています。
プログラムの流れですが、研究記事の朗読を担当する兄弟と、司会をする兄弟が割り当てられており、ディスカッション形式で進められます。まず研究記事の朗読が節ごとに行われ、次に司会者が研究記事で準備された質問を読み、その質問に対して注解をする信者が挙手をします。司会者は、挙手をした人の中から、適切な成員の名前を呼び、呼ばれた人がマイクを用いて注解をします。
追って、平日の集会の様子を撮影したビデオコンテンツをご紹介しますが、そこで行われるディスカッション形式のプログラムは、ものみの塔研究の様子と共通するものであり、集会の学びで組織が頻繁に用いているスタイルです。
多くのキリスト教の礼拝と異なる点として、教会の礼拝の多くが牧師のメッセージを聞く受動的な形式であるのに対し、ものみの塔研究は信者全体が参加する参加型形式である、ということが挙げられます。この方法は、学びの内容をより深くインプットする点では良い方法ですが、ものみの塔の場合はマインドコントロールの効果を高める意味でも用いられていますので問題があります*[1]。
平日の集会|神の言葉の宝、野外奉仕に励む
プログラムの流れ
平日の集会は、火曜~金曜の、夜七時から行われます。内容は、弟子訓練が中心であり、神の言葉の宝(聖書研究)、野外奉仕に励む(伝道訓練)、クリスチャンとして生活する(クリスチャン生活)の三部構成で進んでいきます。具体的な流れは、以下の通りです。
- 賛美の歌
- 祈り
- 神の言葉の宝
- 野外奉仕に励む
- 賛美の歌
- クリスチャンとして生活する
- 発表*[2]
- 賛美の歌
- 祈り
平日の集会については、実際のプログラムを扱った集会の様子が、以下のタイトルの動画コンテンツで用意されていますので、合わせてご覧いただくことをお勧めいたします。「クリスチャンとしての生活と奉仕の集会サンプル」
また、上記のサンプルの集会で用いられたワークブックを、以下よりダウンロード可能です。
神の言葉の宝
奉仕の僕か長老の兄弟によって、ワークブックで指定された主題と要点に基づき、10分程度の話がなされます。続いて「霊的な宝石を探す」では、ワークブックで指定された質問に基づいて討議(ディスカッション)が行われます。
それが終わると、その週の通読範囲から、4分程度の聖書朗読が、割り当てられた兄弟によって行われます。
野外奉仕に励む
「野外奉仕に励む」では、野外で効果的な伝道を行うための様々な訓練が行われます。通常は、「最初の訪問」「再訪問」「聖書研究」それぞれの場合を想定して、伝道や研究司会の実演がなされます。
クリスチャンとして生活する
「クリスチャンとして生活する」は、クリスチャン生活に焦点を当てたプログラムという定義ではありますが、聖書研究的なもの、野外奉仕に関連するもの、などの総合的なテーマが扱われます。必ずあるプログラムは、「会衆の聖書研究」であり、30分程度で、組織が取り決めた書籍の内容に基づき、ものみの塔研究と同じ討議形式で、進められます。
大会|地区大会、巡回大会
エホバの証人は、年に三回、大会を行います。内訳としては、夏前後に3日間かけて行われる「地区大会」、その他の時期に間を空けて一日で行われる「巡回大会」があります。どの大会においても、全体の内容の中心は学びであり、賛美や祈りの時間は少なめであることは、キリスト教の集会・大会と大きく異なる点です。
大会では、講演やインタビューのために、様々な兄弟姉妹たちが割り当てを受けますが、大会で大勢の聴衆の前で話すことは「誉れある特権」と見做され、大抵の場合、「模範的」だと見做される人が、その特権を捉えることになります。
なお、裏事情としては、割り当てを決める巡回監督に対し、事前にプレゼントや謝礼などを送ることによって特権を与えられるケースも多い、という報告もあります*[3]。
なお、エホバの証人の全てのバプテスマ希望者は、これらどれかの大会の中で、全浸礼のバプテスマを受けるよう取り決められています。
巡回訪問
巡回訪問とは、年に二回、巡回監督が各会衆を訪問する機会を指します。巡回訪問の目的は、監督が会衆の霊性をチェックし、励まし、助言を与えることにあります。訪問する期間は一週間であり、その期間中、監督は集会、野外奉仕、食事の交わりなどを通して会衆の成員と積極的に交流を持つことになります。
巡回監督は例外なく、組織の中ではエリート中のエリートであり、奉仕の経験も豊富であるため、多くの信者は巡回訪問で監督と交わる機会を楽しみにしています。
なお、巡回監督は、各会衆の長老団に対しては絶対的な権威を持っています。そのため、日頃の長老たちの悪事や怠慢を直訴するため、巡回訪問を心待ちにする信者も少なくはありません。その他、会衆内の種々の重要な決定なども、この巡回訪問の機会に合わせて行われる傾向があります。
イエスの死の記念式
エホバの証人にとって、年に一回、最も重要な集会とされているのが、「イエスの死の記念式」です。毎年、最後の晩餐が行われたユダヤ歴のニサン14日の日没~に合わせて行われます。2018年は、3月31日に、この記念式が執り行われました。
全てのエホバの証人は、毎年の記念式の前には、「記念式のキャンペーン」として、特に活発な伝道を行い、人々を招待します。多くの人は、自宅のポストに、記念式への招待状が入っているのを目にしたことがあるはずです。
記念式では、実際の無酵母パンとぶどう酒が用意されますが、ほとんどの信者はそれを食べることはありません。その理由は、「新しい契約の当事者は『エホバの証人の中の144000人に限られる』」という独特の教えがあるからです。
▶参考記事:「エホバの証人が主の晩餐を守り行なう方法はほかの教会と違いますが,なぜですか」
記事一覧:エホバの証人とは?
脚注
[1] なお、統治体の側で、自分たちがマインドコントロールの手法を用いているということについて、どこまでの認識があるのかは定かではありません。
[2] ここでは、巡回訪問・大会の予定などの発表や、寄付の決議、文書依頼の締切日の連絡などがあります。排斥・降格・戒めなどの発表も、このタイミングであります。
[3] ウィリアム・ウッド『ものみの塔、カルト集団の実態』176~177頁。
集会ではどのような事をされていますか?
返信が遅れて申し訳ありません。
集会中に行われている内容について、こちらの記事では説明しているのですが、加えてどんな点がお知りになりたいのでしょうか?
(3)ウイリアム・ウッドの著作からの引用ですが、かなり悪意を感じますねぇ…
”サイモニー” 聖職売買罪といって金銭で聖職を売買する聖書に基づいた罪とされます。(使徒8:9~23)
ものみの塔研究でも取り上げられたことがあり、少なくとも現在ではそのような事例は発生しておりません。
改めて、該当箇所を読んでみました。これについては、元証人たちの複数の証言に基づいているようですが、そのような事実は過去にあるみたいですね。また、プレゼントを贈る兄弟姉妹たちが、純粋な動機で贈り物をしていて、結果的に大会に出た、ということもあるでしょう。結局は、各巡回監督の個人的な人格にかかっているのでしょうね。