6. 統計と動向|エホバの証人とはーものみの塔の実態に迫る
世界の統計と動向
ものみの塔協会は、毎年全世界の統計を、出版物を通して発表しています。以下は、2017年の奉仕年度の公式なデータです。(2016年9月1日~2017年8月31日)
上記の統計を元に、近年のエホバの証人の動向について、幾つかの点に触れたいと思います。
報告に含まれている国や地域
現在は、240の国や地域で伝道活動が行われていますが、この数字は全世界をほぼ網羅する規模となっています。(国連の加盟国は、2017年10月時点で193か国)2009年の統計では、236の国や地域であったため、詳細は確認していませんが、ここ数年で若干増えた印象があります。
異端を含むキリスト教系の団体で、単独でここまで全世界を網羅する組織は、エホバの証人以外には存在しません。彼らが世界のあらゆる地域へ宣教することに拘る理由は、「行って,すべての国の人々を弟子とし」というマタイ28章19節の大宣教命令にあります。
記念式で表象物に与った人の数
エホバの証人は、年に一度の春先ころ、ユダヤ歴のニサンの十四日に「イエスの死の記念式」(聖餐式)を行います。上記の統計では、2017年の記念式で「18564人」が、表象物のパンとぶどう酒に与り、「油注がれた144000人の残りの者」であることを告白したことがわかります。
終わりの日と144000人に関するエホバの証人の教理では、大艱難が近づくにつれ、残りの者が減少していくはずなのですが、近年、毎年この人数が増加していることが、JW関係者の間では話題(問題)となっています。
過去の組織の歴史では、ある時期までは順調に毎年減少していたのですが、以下の表で示す通り、2005年を境に増加に転じ、以降は2017年に至るまで、毎年増加傾向にあることがわかります。この事実は、144000人に関するものみの塔の教理の矛盾点を示すものとなっていますが、その理由について、今のところ協会側は「過去の宗教信条や,精神的・感情的な問題などにより誤って思い込んでいる人が増えている」と弁明しており*[1]、教理の変更を打ち出す様子は見られません。
年代 | 表象物に与った人 | 記念式の出席者 |
2000年 | 8661人 | 14,872,086人 |
2005年 | 8524人 | 16,383,333人 |
2010年 | 11202人 | 18,706,895人 |
2015年 | 15177人 | 19,862,763人 |
2016年 | 18013人 | 20,085,142人 |
2017年 | 18564人 | 20,175,477人 |
伝道者数と増加率
2017年度の伝道者数*[2]の月平均は、およそ820万人となっており、2016年よりも1.4%増加しています。10年前の2006年の統計では、月平均がおよそ650万人でしたので、緩やかではありますが、世界的には増加傾向であることがわかります。
ただし、最近の「エホバの証人の年鑑」*[3]の各国の統計を確認していくと、増加傾向にあるのは、ほぼ発展途上国に限られており、日本やアメリカ、ヨーロッパなどの先進諸国では、ほぼ横ばいか減少傾向にあることがわかります。
先進国での伝道が伸び悩んでいる原因として考えられるのは、それらの国々において、カルト団体としてのマイナスイメージが定着化してきていることや、ネット環境の普及率の高さにより、組織の誤りや偽善を暴露した情報にアクセスしやすい、というようなことが考えられます。例えばここ数年の間、児童性的虐待裁判に関するニュースが世界中のメディアで大々的に流れてきましたが、このような状況は間違いなく、ものみの塔のマイナスイメージに拍車をかけるものとなってきました。
こうした状況もあってか、先進諸国では支部の閉鎖*[4]や王国会館の縮小が相次いでおり、ものみの塔協会が厳しい状況に立たされている様子が伺えます。
開拓者数の月平均
詳細は後述しますが、エホバの証人の組織における「開拓者」とは、一月あたり70時間を伝道活動に費やす信者のことを意味します。2017年の統計では、開拓者の月平均がおよそ「125万人」となっていますが、全体の伝道者数の平均は「820万人」です。
つまり、全世界のエホバの証人の15%、6~7人の一人は、毎月多くの時間を伝道にあてる開拓者であることがわかります。このような伝道に対する意識の高さは、他の多くのキリスト教の教派に類を見ないほどのものとなっています。
日本の統計と動向
『2017 エホバの証人の年鑑』によれば、2017奉仕年度の日本の統計は、次の通りです。
日本の統計
- 日本の人口:1億2657万3481人
- 2016年度 伝道者最高数:214,173人
- 伝道者一人あたりの人口の割合:591人
- 2016年度 平均伝道者数:213,818人
- 2015年度に対する増加率(%):空白 ※ほぼ0%を意味する。
- 2015年度 平均伝道者:214,523人
- 2016年度 バプテスマの人数:2,156人
- 平均補助開拓者数:20,821人
- 平均開拓者数:64,864人
- 会衆の数:3059
- 時間合計:8141万4691時間
- 聖書研究の平均:160,289件
平均伝道者数の推移
上の図は、1993年からの日本のエホバの証人の伝道者数の推移を示した図となっています。確認すると、1998年までは勢いよく上昇を続けていますが、その年を境に減少傾向へと転じ、ここ十年間は、21万人台をキープしながら緩やかに減少を続けていることがわかります。
バプテスマの人数
2016年度のバプテスマの人数は「2,156人」となっており、丁度信者数全体の1%程度の割合となっています。しかし、2015年と比較して、全体の信者数は変わっていない、ということは、丁度同じくらいの信者が脱退したか、不活発になった、ということを意味しています*[5]。
また、この脱退とバプテスマの人数の割合が同じくらいである状況は、ここ数年の間、日本においては変化がありません。
平均開拓者数
日本における平均開拓者数は「64,864人」となっており、21万人の信者数全体のおよそ30%にも上ります。全世界の統計では、開拓者の平均割合は15%程度なので、日本のエホバの証人は、外国のエホバの証人よりも伝道活動に熱心であることが伺えます。(この理由としては、日本人特有の真面目な気質が関係している、と筆者は考えています。)
JWブロードキャスティングで公開されているビデオ「モンゴルの三姉妹」は、開拓者を増やすために組織がどんな教育をしているかを知る上で、とても参考になる内容となっています。
記事一覧:エホバの証人とは?
脚注
[1] この点は、ものみの塔2011年8月15日号22頁「読者からの質問」にて説明されています。
[2] 伝道者数とは、要は信者数のこと。エホバの証人の中では、全ての信者は伝道者であるという意識が強いので、信者数とは言わず、伝道者数という表現を用います。
[3] エホバの証人が、毎年発行している出版物。前の年の統計や動向、経験などをまとめたもの。公式サイトからダウンロードが可能。
[4] 支部数の推移は、「エホバの証人の年鑑」で確認が可能。2009年は118でしたが、2016年は89となっており、9年間で約30もの支部が閉鎖されたことがわかります。
[5] 伝道者数から外れた人の中には、他にも亡くなった信者や、海外へ行った信者も含まれますが、比率として最も高いのは、脱退・もしくは不活発になった信者だと言えます。
引用ありがとうございます。ももきちです。
上のグラフは2016奉仕年度のデータによりますが、より新しい2017奉仕年度のデータ(年鑑2018年と会衆への手紙)による同形式のグラフが必要なら、仰ってくださいませ。お送りします。もちろん、大して変わりませんが。
返信遅れて申し訳ありません。ご提案ありがとうございます。念の為、最新のデータもございましたら、お送りいただけると大変助かります。
お手すきの際に、いただければ幸いです。送り先は、info@gospel-jw.com へお願い致します。