8. 出版物・メディア|エホバの証人とはーものみの塔の実態に迫る
ものみの塔協会が用いている出版物やメディアは多岐に及びますが、以下に代表的なものをピックアップしてご紹介いたします。
新世界訳聖書|New World Translation
1950年に、エホバの証人が独自に翻訳・発行した聖書であり、以来世界中のエホバの証人が「最も優れた聖書」だと信じ、日々用いてきました。この聖書を巡っては、様々な議論がありますが、よく挙げられる特徴としては、以下のような点が挙げられます。
新世界訳聖書の特徴
- 旧約聖書におよそ7,000回近く登場する神の御名「YHWH」を、全て「エホバ」と訳す。
- 新約聖書のギリシャ語写本に登場する「主 (キュリオス)」を、237箇所において「エホバ」と置き換えて訳している。
- エホバの証人の教理を正当化するための改ざん・意訳が多くなされている。
- 議論のある箇所を除けば、普通に訳されており、高く評価されるような訳出が行われている場合もある。
ものみの塔協会による新世界訳聖書に関する主張
協会は、新世界訳聖書を翻訳した際の基準について、公式サイトで以下のような説明をしています。
信頼 性。「新 世界 訳」は,最新 の 学術 研究 と 最も 信頼 性 の ある 古代 写本 に 基づい て い ます。それ に 対し,1611 年 に 完成 し た「ジェームズ 王 欽定 訳(きん て い やく)」(英語)は,「新 世界 訳」の 翻訳 で 使用 さ れ た 写本 ほど 古く ない,やや 正確 さ に 欠ける 写本 に 基づい て い ます。
忠実 さ。「新 世界 訳」は,神 の 霊感 の もと に 記さ れ た 音信 を そのまま 伝える よう 努力 し て い ます。(テモテ 第 二 3:16)多く の 聖書 翻訳 は,神 の 音信 へ の 忠実 さ を 犠牲 に し て,人間 の 伝統 に 従っ て き まし た。例えば,神 の 固有 の 名前 エホバ を,「主」や「神」と いっ た 称号 に 置き換え て い ます。
逐語 的 な 訳。「新 世界 訳」は,自由 訳 と は 違い,自然 さ や 原文 の 意味 が 失わ れ ない 限り,できる だけ 字義 どおり に 訳し て い ます。聖書 の 原文 を 自由 に 言い換える 翻訳 で は,人間 の 解釈 を 加え たり,重要 な 詳細 を 切り捨て たり する 恐れ が あり ます。―JW.ORG「『新世界訳』は正確ですか」
聖書学者からの評価
議論の争点となるような箇所を除けば、その翻訳に良い評価を下している聖書学者は存在します。しかし、新約聖書への「エホバ」の挿入や、教理の正当化のための意図的な改ざんなどについては、多くの聖書学者が、否定的な見解を持っています。以下に、ものみの塔協会の出版物でも度々登場する著名な聖書学者ウィリアム・バークレー氏のコメントを紹介します。
「新世界訳聖書には、この宗派による意図的な真理の歪曲が見られる。・・新約聖書をこのように訳すことのできる宗派が不誠実であることは、全く明らかだ。*[1]
ものみの塔誌|WatchTower Magazine
「ものみの塔誌」の創刊は、1879年のことであり、当時の正式名称は「シオンのものみの塔およびキリストの臨在の告知者』(英語)でした。組織の定期刊行物の中で最も重要な雑誌であり、その創刊以来、現在まで定期的に発行され続け、およそ140年が経っています。
現在の毎月の発行部数は約4200万部、翻訳言語数は190以上であり、世界で最も多くの人に読まれ、最も多くの言語に翻訳されている雑誌へと成長を遂げています*[2]。
目ざめよ!誌|Awake! Magazine
ものみの塔誌の姉妹誌である「目ざめよ!」誌の創刊は、1919年10月1日のことであり、当時の雑誌名は「黄金時代」でした*[3]。内容は、ノンクリスチャンへの伝道にも効果的に用いられるよう、話題性のあるテーマが取り上げられています。
現在の毎月の発行部数は約4100万部、翻訳言語数は80以上であり、発行部数・翻訳言語数共に、ものみの塔誌に続いて世界第二位となっています*[4]。
公式ウェブサイト:JW.ORG
公式サイト「JW.ORG」は、エホバの証人の公式サイトであり、ものみの塔を認知させ、効果的な伝道を行うために積極的に用いられています。最近では、このサイトのPRとして、「JW.ORG」のロゴの入ったブローチやバッジをつけて生活する信者も多くなってきているようです。
サイトの記事の翻訳言語数は、なんと「940」にも上り、おそらく世界で最も多言語で読めるウェブサイトとなっています。以下、出版物に載せられたJW.ORGに関するエピソードを一つ紹介します。
ジュゼッペの経験
「ジュゼッペはイタリアの正規開拓者です。自宅でインターネットコンサルタントの仕事をしています。昨年の5月,兄弟は70 人ほどの同僚とともに会議に出席し,その会社にとって実現可能な新しいアイデアを話し合いました。初めに最高経営責任者(CEO)は,自分たちが目指す実際的なモデルとして幾つかのウェブサイトを取り上げる,と言いました。そして,表示画面にその一例を出しました。jw.orgのホームページが画面に現われたのを見て,ジュゼッペは本当に驚きました。CEOは,「このウェブサイトが世界ナンバーワンだ!」と言いました。そして,jw.orgの技術的な側面を解析し始め,見つけやすいリンクや,心をとらえるグラフィックについて褒めました。」*[5]
JWブロードキャスティング|BROADCASTING
JWブロードキャスティングは、同じくエホバの証人の公式サイトで、動画コンテンツ向けに別途制作されたウェブサイトです。時代の流れもあり、ものみの塔はここ数年、動画コンテンツの制作にかなりの力を入れており、伝道や集会でも動画が多く用いられるようになっています。
また、以前は限られた場面でしか見ることのできなかった統治体のメンバーの映像を、ブロードキャスティングを通して定期的に観ることも、多くの信者にとって楽しみの一つとなっており、「統治体との距離が近づいた!」という喜びの声が聞かれることもあります。
記事一覧:エホバの証人とは?
脚注
[1] ―R. Rhodes, The Challenge of the Cults and New Religions, The Essential Guide to Their History, Their Doctrine, and Our Response, Zondervan, 2001, p. 94
[2] 「『ものみの塔』― 世界で最も読まれている雑誌」(JW.ORG)
[3] 『ものみの塔』1985年2月1日号、18頁。
[4] 「『ものみの塔』― 世界で最も読まれている雑誌」(JW.ORG)
[5] 『2017 エホバの証人の年鑑』41-42頁。