エホバの証人 輸血拒否ルールの重大な変更を発表。2026年3月20日、統治体ゲリト・レッシュ氏による発表内容とは

2026年3月20日、エホバの証人の指導部の統治体は、輸血拒否についての教団のルールの重要な変更を発表しました。このことは、世界中で大きなニュースとなっており、日本での様々な媒体で公開されています。

変更の内容

輸血拒否ルールの何が変更になったのか

変更の内容は、エホバの証人の公式サイトの以下の場所で実際に確認が可能です。

ライブラリ > ビデオ > 最新ビデオ > 2026 統治体からの話(2)※11分目〜あたりからです。

実際に輸血拒否のルール変更に関する統治体の説明を聞いたのですが、具体的な変更点についての理解が困難な内容でした。従来は何が駄目で、何が解禁になったのかという点を明確にしないのです。おそらく、従来の理解が間違っていたことに対する印象をオブラートにするためのものだと思いますが、変更点を正しく理解するためには、統治体の説明だけでなく、複数の情報を調べる必要がありました。

私の方で調べた情報を踏まえ、まずは変更の内容を簡潔に説明させていただきます。

  1. 今回の変更の内容は、献血や手術に先立って自己血を保存しておく「貯血式自己血輸血」の解禁です。従来は、貯血式での輸血も「血の禁令」に該当するものとされ、それを行えば排斥処分に該当する程のものでした。それが、この度解禁になったということです。
  2. 自己血の使用については、貯蔵式を除く多くの方法が、元々「各自が良心に沿って決める」ものとして分類されてきました。例えば人口心肺装置や自己血回収、血液透析などです。しかし今回、貯蔵式も解禁になったことにより、今後ものみの塔は、自己血の使用を全面的に信者の判断に委ねる方針となりました。
  3. その他、他者の血を用いる輸血については、変わらず全面的に禁止されています。

統治体メンバー、ゲリト・レッシュによる実際の説明

実際の映像を見る

「統治体の話」の中から、特に今回の変更についての説明を以下に抜粋します。

「また、聖書には自分の血を医療目的などで使うことについては、特になにも書かれていません。自己血の使用についてのエホバの証人の見方は「いつまでも幸せに暮らせます」の補足情報で次のように説明されていました。こう書かれています。

『手術や検査や処置の過程での自己血の使用については、各自が良心に沿って決めます。それで、多くの兄弟姉妹は血液検査を受け入れています。』

また、自己血を使ったもっと複雑な治療法、例えば人口心肺装置や自己血回収、血液透析といったものも受け入れています。でも、どんどん新しい治療法が出てきています。

それで今回、統治体はよく祈ってじっくり聖書を調べた結果、医療目的での自己血の使用に関する見方を調整することにしました。これからは、医療目的での自己血の使用については全面的にクリスチャン一人一人が自分で判断することになります。それには自分の血液を採取し、貯蔵し、体に戻す治療を受け入れるかどうかも含まれます。

どういうことでしょうか。治療の過程で自分の血を取り出して、また体の中に入れるというのを受け入れる人もいれば、そうしない人もいるということです。自分の血液を使った治療を受け入れるか、どんな治療を受け入れるかは、クリスチャン一人一人が自分でよく考えて判断する必要があります。まとめです。

クリスチャンはモーセの律法に従う必要はありません。でも、使徒たちの時代に与えられた血を避けるようにという命令には従います。聖書には自分の血を医療目的で使うことについては、特になにも書かれていません。それで、自己血を使う治療法についてはクリスチャン一人一人が自分で考えて決定します。健康を守るためにどんなことをするかの判断も人によって違いますよね。それと同じです。

実際に発表内容を読んでいただくと、何を変更・調整したのかがはっきりとわかりづらい、という印象を持たれる方がきっと大半だと思います。特に、従来は「貯血式自己血輸血」が禁止されていた、という点が曖昧です。

むしろ統治体の話だけを聞くと、事故血の使用については元々各自が良心に沿って決めるという方針がなされており、その基準を今回調整し、より明確にした、という印象さえ持ってしまいます。その理由の一つは、「いつまでも幸せに暮らせます」の補足情報からの引用が不十分であり、以下の短い文章に絞られているからだと思います。

『手術や検査や処置の過程での自己血の使用については、各自が良心に沿って決めます。それで、多くの兄弟姉妹は血液検査を受け入れています。』

「いつまでも幸せに暮らせます」補足情報からわかること

「いつまでも幸せに暮らせます」の補足情報から、実際の引用元の文章の全体を引用させて頂きます。

3. 血液が関係する医療処置

医療処置の中には,患者の自己血を使うものがあり,クリスチャンが受け入れられないものもあります。例えば,献血や,手術に先立って自己血を保存しておくこと(貯血式自己血輸血などと呼ばれる)です。(申命記 15:23)

自己血を使う医療処置の中には,クリスチャンが受け入れられると判断し得るものもあります。例えば,血液検査,血液透析,血液希釈(術中希釈式自己血輸血などと呼ばれる),自己血回収(回収式自己血輸血,セル・サルベージ,血液回収などと呼ばれる),人工心肺装置です。手術や検査や処置の過程での自己血の使用については,各自が良心に沿って決めます。

こちらの全体を読むと、「貯血式自己血輸血」が「クリスチャンが受け入れられないもの」として、従来は明確に否定されていたことがよくわかります。それを「元々示されていたガイドラインをより明確にした」という雰囲気で説明したところに、統治体の実際の姿を改めて垣間見た気がします。

また、「でも、どんどん新しい治療法が出てきています。」という表現から、常に進歩する医療技術への対応という視点も踏まえ、「貯血式」を含めて全面的に認めていく、という印象を受けますが、「貯血式」は新たな医療技術ではなく、1980年代〜1990年代末期にかけて確立してきた方法であり、新しい治療方法ではありません。つまり、自己血の使用に関する治療方法の進歩は、今回の変更とは関係が無いはずです。

今回の変更によって実際に助かる人は増えるか?

今回の変更によってどんな効果が期待できるでしょうか?

第一に、多くのエホバの証人にとって、手術の際に選択可能な病院の選択肢が増えて、より手術がしやすくなると考えられます。というのは、現代の手術では手術前に輸血に関する同意書を求められることがほとんどだと思いますが、エホバの証人はその書面にサインできないので、彼らの手術に対応できる病院が少なかったのです。しかし、貯蔵式の自己血輸血ができるようになったとで、彼らの手術に対応できる医療機関の幅が大きくなったことは間違い無いでしょう。

第二に、この変更によって医療現場で命が助かるようになるエホバの証人はどれくらい増えるのでしょうか?おそらく、あまり大きなインパクトは無いと思います。というのは、輸血拒否に教えによって実際に現場で命を落とすエホバの証人やその家族の多くは、事故などの緊急事態を通して命を落とすという情報があるからです。

当然のことながら、貯血式が解禁になっても緊急時の手術では使えないため、他者の輸血を解禁しない限りは、今後もこの教理によって死亡するエホバの証人の数が大きく減ることはないでしょう。

かつてイギリスのBBC放送に出演したエホバの証人の証言によれば、一日に三人、年間千人の人が、輸血禁止のために死亡しているとされています。このような悲劇が、今後無くなる時が来ますように。

 

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1件の返信

  1. アリウス君 より:

    「統治体が祈ってよく調べた結果…」何度この欺瞞に満ちた言葉に騙されてきたことでしょう。
    モーセの律法によると「血は地面に注ぎ出すべき」との命令によりJWは自己血輸血は禁じられてきたはずです。しかしこの度の変更に関しては、何をどう調べどのような議論がなされたのかの結論だけで、そこに至る推移は全く知らされていません。命に関わる重大な変更においてもです。一体今までの聖書解釈でどれほどの命が失われてきたというのでしょう!
    おそらくなし崩し的に今後「新しい光が輝いて、血に関する理解が更に深まり」輸血が解禁になることでしょう。
    思うに、統治体は AD2000が近づくにおいて、自分達が期待していたハルマゲドンが来ないことを悟り、この巨大教団をどのように一般社会にソフトランディングさせるか考えてきたのではないでしょうか。
    1990代の半ばから徐々に教理を社会常識に近づけてストイックな部分を削ぎ落としてきたのではないかと思います。つまり彼らは現代の預言者としての役割に白旗を挙げたのです。高等教育を認め、聖書の予型対型の解釈をやめ、奉仕報告の義務を無くしました。一連の流れは”俗化”へと向かっています。最近では1914も世代の理解もほとんど取り上げられません。ものみの塔研究に至っては中学生の道徳のレベルです。
    おそらく統治体は数十年かけて教義の段階的な変更を既にプログラムしていたのかもしれません。信者はまるで”煮えカエル”です…徐々に変わる温度を感知できず、気が付いた時は死んでいる…ということでしょうか。恐ろしいことです。

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