エホバの証人への伝道マニュアル②|状況別の対応方法


エホバの証人への対応・伝道方法|状況別の対応方法

エホバの証人(以下、JWとも略す)へ対応・伝道するシチュエーションとしては、「訪問伝道の場合」、そこから「定期的な話し合いへ発展する場合」、「駅前のJWへ話しかける場合」の3つを想定することができます。本記事では、主にキリスト教徒の立場から、それぞれの状況のおける対応・伝道方法について、具体的なアドバイスをご紹介します。

訪問された場合(戸別伝道)

エホバの証人側の視点

戸別伝道(訪問伝道)は、エホバの証人がもっとも力を入れている伝道方法であり、状況が許す限り、全ての信者はこの方法での伝道に参加するよう求められています。戸別伝道の目的は、単に玄関口で会話をして終わることではなく、定期的な聖書レッスンに結びつけることにあります。そのため組織は、全ての信者に対し、最初の訪問→再訪問→定期的な聖書レッスン、という流れを意識するよう指導しています。

ちなみに、訪問伝道において、どんなテーマを取り上げ、どんな展開に持っていくのかについては、毎月変わる雑誌の内容に合わせ、組織から具体的な指導がなされています。以下のページを開き、下へスクロールすると、「話し合いのサンプル」というコーナーがあり、そちらに毎月のサンプル動画がアップされますので、事前に見ておくと、対処しやすくなると思います。

JW Broad Casting 集会と宣教

組織から提供される会話の実例はあくまでサンプルであるため、全ての伝道者がその通りに話すわけではありません。しかし、事前にこちらで目を通しておくと、効果的な会話に持っていきやすくなるでしょう。

断る場合

訪問をしてくるエホバの証人を断る場合、将来的に彼らへ伝道する可能性があるかないかによって、対応の仕方は変わってきます。

普通に断る場合

お断りはするが、「将来的に彼らへ伝道をする機会は残しておこう」と考える場合は、「結構です」と普通に断れば大丈夫です。ただしその際に「わたしはクリスチャンなので結構です」とは言わないよう注意して下さい。なぜなら、そのような言葉は、「キリスト教徒は伝道しない」「聖書の学びもほとんどしていない」と考える多くのエホバの証人の信仰を、逆に強めてしまう結果となるからです。

実際に、かつてエホバの証人の伝道者であったある姉妹は、訪問先のキリスト教徒が「クリスチャンだから」と断るたびに、次のような会話を仲間内でしていた、と証言しています。

「エホバの証人がクリスチャンの家を訪ねると、ほとんどの人が話し合いを避けて逃げてしまう。真実を明らかにするために話し合いを拒むのは、闇にいる者、偽善者の特徴である。それは彼らが大いなるバビロン、サタンの組織に属している証拠に他ならない」*[1]

二度と訪問を受けたくない場合

「彼らへ伝道する気はない」「荷が重い」と感じられるなら、はっきりと断った方がよいでしょう。その方が、あなたの側も、訪問するエホバの証人の側も、互いに時間の無駄をせずに済むからです。その際に、「迷惑ですので、今度絶対に来ないでください」とはっきりと意思表示をすることが大切です。そうするなら、彼らはあなたの家を「訪問拒否リスト」に入れ、今後の訪問がなされないようにするからです。

普通に会話をする場合

訪問してくるエホバの証人と、短く会話する余裕がある場合は、まずは、余計に意気込んだりせずに、普通に会話してみるとよいでしょう。大抵の場合、相手のJWは話すテーマを考えてきていますが、わからないことは「わからない」と言えばいいですし、相手の語る教えに疑問を感じれば、その場で質問をすることができます。

そして、「信者となったキッカケは何だったのか」「どうしてエホバの証人になろうと思ったのか?」「ものみの塔協会のリーダーは、あなたにとってどんな存在なのか?」「家族の中で同じJWの信者はいるのか」「毎月どれくらい伝道をしているのか」などの質問をすることで、相手がどんな信者なのかを知る手がかりとなるでしょう。

また、クリスチャンとしての自分の証を話すなら、良い関係を築きやすくなると共に、相手に考えさせるキッカケとなるかもしれません。

トラクトや文書を渡す場合

他宗教の出版物を受け取ってはならない

ものみの塔は「他の宗教の文書を受け取らないように」と信者に指示しているので、仮に私たちが渡そうとしても断ってくる可能性が高いでしょう。過去の出版物では、具体的に以下のような指導がなされています。

「わたしのを読んでくれるなら,それをもらいましょう」
時折,このように言う人がいます。わたしたちは,誤りを広める宗教文書とわたしたちの聖書研究の手引きを交換することはしないので,そう言われた場合,どのように巧みに答えられるでしょうか。(ロマ 1:25)こう言えるかもしれません。
「お申し出ありがとうございます。一つお尋ねしたいのですが,世界に見られる不公正などの問題の解決策について,それにはどのように述べられていますか。
[答えの間を置く。この文書を読んで答えを見つけてくださいとその人が言うなら,わたしは内容を述べてからあなたに文書をお勧めしました,と言える。そして,マタイ 6:9,10を読むか,聖書を開かずに言う。]
イエス・キリストは,神の王国という一つの政府によって神のご意志が果たされる,つまり世界の諸問題が取り除かれると述べています。ですからわたしは,神の王国について述べる宗教文書だけを読むようにしています。神の王国が何を行なうのか,聖書から幾つか見ていただけますか」―『王国宣教』2013年9月3頁。

上記の会話のサンプルの中には、「神の王国について述べる宗教文書だけを読むようにしています」とありますが、キリストによる神の国の支配は聖書の中心テーマであり、解釈の違いはあれど、おおよそどのキリスト教の教団でも教えている事柄ですので、その点を指摘すれば、受け取ってもらえるかもしれません。

交換拒否の理由は情報統制にある

ものみの塔協会がこのような指示をする表向きの理由は、「偽りの宗教の影響を受けるので好ましくない」というようなものですが、本当の理由は「情報をコントロールして、組織の偽善や誤りが暴かれないようにするため」であると言えます。そして、その指示が情報統制を意図したものであり、「非聖書的」「非常識」なものであることを示す、3つの理由があります。

第一に、聖書の中には「他宗教の情報に目を通してはならない」という指示を正当化する聖句はありません*[2]

第二に、伝道活動とは、相互のコミュニケーションが必要とされる活動です。それなのに、自分たちの出版物だけを読ませ、相手の渡してくる出版物を読もうとしないなら、それは一方的な押し付けであり、コミュニケーションではありません。つまり、そのような方法は伝道の本質からかけ離れているのです。

第三に、ものみの塔の出版物では、彼らが「偽りの宗教」と非難するキリスト教の学者たちのコメントが、自説の信頼性を裏付ける目的で随所に引用されています。ですから、キリスト教の出版物を信者が読むべきでないなら、ものみの塔の出版物にも、キリスト教の学者たちのコメントを一切載せるべきではないのです。

このように「他宗教の出版物を受け取らない」という指示に妥当な理由がないことを踏まえれば、その指示の本当の目的が「情報統制」にあることは明らかです。以上に挙げた論点をちゃんと理解しておくことは、実際の会話でマインドコントロールの問題を指摘する上で、とても役に立つので、是非覚えておいてください。

対処方法

これまでに考慮したものみの塔のルールを踏まえると、訪問してくるエホバの証人に何らかの文書を渡そうとする場合、以下の対処方法を挙げることができます。

  • 「わたしが差し上げる文書も読んで下さるなら、そちらの雑誌も読ませていただきたいと思います」という交換条件を出して、文書を渡す。
  • 断られたら、情報統制に関する問題を指摘する
  • 文書に書いてある内容をその場で読み上げる。
  • 「この文書を読んで、教えていただけますか」と言って渡す。
    (定期的な話し合いを想定する場合はお勧め。詳細は後述します)

文書の交換を提案した時点で、大抵の信者はその提案を断ってきます。もっとも読んでくれればそれに越したことはありませんが、断ってくれば、情報統制の問題を指摘する絶好の機会となります。その際に、上記で取り上げた論点に基づいて会話を進めれば、相手のJWは自分がマインドコントロールされていると気づき始めるかもしれません。

また、文書の内容が、JWへの伝道で効果的なものであれば、渡さずに、その場で読んで聞かせることもできるでしょう。もっとも、読んで聞かせるのも拒否される場合がありますので、書いてある内容を頭に入れて、口頭で伝えるのがベストです。

「教えて下さい」と言って文書を渡す

「読んで下さい」と言って渡そうとすると、その時点でマインド・コントロールのスイッチが入って、拒否反応を起こされるパターンも想定されます。そこで「読んで下さい」ではなく、「教えて下さい」という姿勢で、次のように文書を渡してみることもできます。

「もし良かったら、この冊子の内容が、エホバの証人の教えがどのように違うのか、教えていただけませんか。私も真理を求める信仰者の一人ですので、是非知っておきたいんです。」

このように語りかければ、相手の警戒センサーは働きづらいでしょうし、「この人を偽りから救い出さなければ!」と感じて、誠実に対応してくれる可能性が高まります。ただし、このような提案をした時点で、定期的な話し合いへ発展していきますので、長期戦を控えたいと思われる方には不向きです。

会話のサンプル

こちらでは、「交換の提案→拒否→情報統制の問題を指摘」という流れを想定した、具体的な会話の流れとサンプルをご紹介します。

まず、トラクトなどを渡す際は、「こちらの冊子をお読みいただいてもいいですか」と聞いてみてください。「受け取ってもらえますか」よりも、「読んでいただけますか」と聞くべきです。なぜなら、受け取るだけだと、その場しのぎで受け取り、後で捨てられてしまう可能性があるからです。しかし「読んでいただけますか」と尋ねれば、良心があるエホバの証人であれば、断ってくる可能性は増すでしょう。

そして、もしも断ってきたら、相手の意志を尊重しつつ、「そうですか、失礼いたしました。よろしければ、読んでいただくことができない理由をお聞かせいただくことはできますか?」と尋ねてみて下さい。あくまで攻撃的な姿勢ではなく、会話全体の中で、敬意を込めて語りかけることが大切です。また、この時点で相手のJWは防御姿勢に入っている可能性もありますので、落ち着いて会話を進めることを心がけて下さい。

その次は、以下のような言葉で語りかけることができます。

「私が逆の立場だったら、伝道をする相手のことを知る必要があるので、快く文書を読むのですが、〇〇さんの場合は、どのような理由がありますか?よろしければ教えていただけますか?

「聖書には、『自分にして欲しいことを人にもする』という有名な言葉がありますよね。私はこのイエスの教えの通り、伝えたい内容が書いてある冊子を、お互いに読んだ方がいいと思うんです。〇〇さんは、どう思われますか?

「ものみの塔の雑誌にはキリスト教の学者のコメントがたくさん載っているので、執筆者の方々はキリスト教の本を普通に読んでいることになりますよね。でも、それ以外の信者の方は読んではならない、というのは、かなり不自然だと思うのですが、理由をお聞かせいただいても良いでしょうか?」

「エホバの証人は誠実な方が多い印象を持っていたのですが、指導をする側の人たちが情報のコントロールを行っている、というのはとても残念ですね。〇〇さんは、この点について考えたことがおありではないでしょうか?」

以上の語りかけ方は、相手のJWができるだけ話に耳を傾けることができるよう、以下の点に注意して考えられています。是非、実際の会話において参考にして下さい。

  • 褒めるべき点はほめる。
  • 「指摘する」よりも、「質問を投げかける」
  • 聖書の言葉を用いて、道理に訴える。
  • 「指導者」と「信者」を分けて考え、批判や疑問は「指導者」に対して語る。

その場で論破する場合

上記で紹介した方法も、その場で論破する方法の一つではありますが、その他に、エホバの証人特有の教理に対して、その場で簡潔に論破することもできます。具体的なテーマと取り上げ方は、追って当サイトで公開していきますので、是非実際の伝道にお役立て下さい。(メールやSNSでもフォローできます)

なお、効果的なテーマ選びは、JWの教理を熟知している人で無ければ中々難しいですので、基本は当サイトや、他の専門書や専門サイトで紹介されている方法をお選びいただくことをお勧めいたします。

再訪問をしてもらう場合

全ての伝道者は、再訪問をして聖書研究に結びつけるために戸別伝道を行っています。ですから、最初の訪問で、あなたが好意的な態度で接するなら、相手の方から「また来週のこの時間は、ご在宅ですか?」というような感じで、再訪問をするタイミングを伺ってくると思います。もしも、相手からそのような言葉が無くても、「また今度、聖書のお話をしましょう」とこちらから言えば、積極的に再訪問をしてくれます。

可能ならば、ゆっくりと会話に時間を取れる日時を指定し、次回の会話に望むと良いでしょう。また玄関先だけではなく、家の中へ案内し、お茶でも飲みながらお話ができればベストです。このような流れで、定期的な話合いへ繋げることができれば、その後の展開において、より効果的に、彼らへ福音を伝えることができるでしょう。

なお、差し支えなければ、メールや電話番号などの連絡先を交換しておくと良いでしょう。その方が、再訪問の日時を調整することができ、お互いに時間を無駄にせずに済みます。また、話し合いの前の準備や、その後の感想などについても、自由にやり取りすることができる等のメリットがあります*[3]

交換した連絡先情報の扱いを心配される方もいるかもしれませんが、無許可で他の信者へ連絡先が流されることはまずありませんので、ご安心ください。

定期的な話し合いをする場合(聖書研究)

エホバの証人側の視点

本記事で既に説明したように、エホバの証人の戸別伝道の目的は、定期的な聖書レッスンに繋げることにありますが、今の日本において、聖書に関心を示し、定期的な話し合いに応じてくれる人はそう多くありません。ですから、あなたが快く定期的な話し合いに応じるなら、ほとんどのJWはその事を喜ぶでしょう。また玄関先だけでなく、家の中へ招かれて聖書の話し合いができる人など、滅多にお目にかかることはできないのです。

さらに、定期的な話し合いにつながれば、エホバの証人の奉仕報告*[4]では、「再訪問」から「研究」へとカウント方法が変わり、より喜ばしい伝道実績を残したことになります。

まずは仲良くなる

定期的な話し合いへ展開したからといって、必ずしも急いで論駁していく必要はありません。まずは、「なぜエホバを信じるようになったのか」「クリスチャンになって人生がどう変わったのか」など、お互いの証を語りあってみるのも良いと思います。そうすることによって、相手のJWが「この人を救いたい、しっかりと向き合いたい」と思うようになれば、良い信頼関係が築かれたことになります。

もっとも、話すテーマが決まっている場合は、初回から議論のテーマに入っても良いでしょう。ただし、初めに最低限の信頼関係を築いておくかどうかは、その後の話し合いにおける効果に大きな違いをもたらすかもしれません。是非この点は、念頭において下さい。

なお、相手のエホバの証人に、事前に尋ねておくと良い質問は、以下の通りです。前回の記事で確認をした通り、脱会の難易度を左右する重要な要素は、「信仰生活を送る動機」「マインドコントロールの度合い」「家族との関係」にありますが、以下の質問のサンプルは、これらの要素を判断する上で役立つでしょう。

【信仰生活の動機】
・信者となったキッカケは何だったのか?
・どうしてエホバの証人になろうと思ったのか?
・エホバの証人として、どんな点に生きがいを感じているのか?

【マインドコントロールの度合い】
・統治体は、あなたにとってどんな存在なのか?
・統治体の教えと聖書の教えが合わないと感じる場合、あなたならどうするか?
・ものみの塔以外の出版物を読むことはどれくらいあるか?

【家族との関係】
・自分以外に、家族や親族の中にエホバの証人はいるか?
・いる場合、彼らは組織に忠実か、そうでないか?
・家族との関係は良好か?

話し合いを中断しないよう約束しておく

定期的な話し合いへ展開していく中で、予め「この話し合いを途中で中断しないよう」約束しておくのが良いかもしれません。たとえば、次のように言ってみるのです。

「もしも、よく話し合った上で、キリスト教の聖書理解が誤っていることがわかれば、私はエホバの証人になることを真剣に考える必要があるかもしれませんね。逆に、もしもエホバの証人の教えが誤っていることがわかれば、〇〇さんの方が考え直す必要があることになりますね。お互いに、大切なテーマだと思うので、この後の話し合いを途中で中断しないことをお約束いただけますか?」

このような事を事前に伝えておく理由は、話し合いが進む中で、エホバの証人側の形勢が不利になってくると、途中で長老から「研究の中断」の指導が入る可能性が高いからです。ですから、事前に「最後まで話し合う」約束をしておけば、仮に中断させられたとしても、相手の伝道者の良心は咎め、組織の閉鎖性に疑問を感じてくれるかもしれません。

また、中断される可能性を考慮すれば、中断の前の話し合いで、「決定打」となるような情報を相手のJWへ伝えておきたいところです。「決定打」としてお勧めのテーマは、「予言の失敗」や「聖書の改ざん問題」などが挙げられます。

可能であれば、話し合いは一対一で

可能であれば、定期的な話し合いを一対一でできるよう、お願いするのは良い方法です。なぜかというと、相手のJWが二人以上いると、お互いの目を気にして、本音を言わない場合が多いからです。お願いする時には、「こちらは一人なので、二人組で来られるよりも、一対一の方が話しやすいと思う」と言えば問題ありません。

ただし、相手が二人で来ているような時に「次回からは一人で来て欲しい」とあからさまにお願いしても違和感があるかもしれませんので、無理の無い範囲で検討して下さい。たとえ相手が二人であっても、こちら側が伝える福音が変わるわけではありませんので、大きな問題ではありません。

使い古した聖書があれば、それを用いる

エホバの証人の多くは、「キリスト教徒は聖書を真面目に勉強していない」と考えていますので、もしもあなたが使い込んだ聖書をお持ちであれば、話し合いの際に、その聖書を用いることをお勧めいたします。この方法は、エホバの証人問題の専門家であるウィリアム・ウッド氏がよく用いる方法のようですが、JWとの話し合いにおいて、良い効果をもたらすことが多いようです。

「相手を自分よりすぐれた者」だと思って接する

「何事でも自己中心や虚栄からすることなく、へりくだって、互いに人を自分よりもすぐれた者と思いなさい。4 自分のことだけではなく、他の人のことも顧みなさい。」(フィリピ2:3、新改訳)

この点は、「エホバの証人への伝道方法(キリスト教徒の場合)」でも触れた点ですが、定期的な話し合いをする時には、特に重要となってくる態度です。たとえ相手の方が誤った教えを信じているとしても、相手の良い点にも目を留め、へりくだった思いを持って接していく必要があります。相手のJWが、あなたの人格に聖霊の実を見るならば、話に耳を傾けてくれる可能性は高くなるでしょう*[5]。そしてそのためには、日頃からあなたが、聖霊の導きに身を委ねて生きていることが不可欠です。

前準備としてお勧めの教材は、アン・ベイリーさんのクリスチャンリーダーシップセミナー(ハーベストタイム発行)です*[6]。相手との信頼関係を築く上で役立つでしょう。

駅前のJWへ伝道する場合(カートの証言)

エホバの証人側の視点

かつては、エホバの証人と言えば「家から家への戸別伝道」でしたが、最近では「駅前での街路伝道」とも言えるほど、あらゆる駅で活発に活動をする様子が伺えます。なお、エホバの証人の間では、この伝道方法を「公の証言」*[7]、もしくは「カートの証言」と呼んでいます。

駅前でカートと雑誌を掲げているエホバの証人は、基本的に、自分から積極的に話しかけたりはしないスタイルです。しかし、聖書やエホバの証人に関心があり、雑誌を受け取ろうとする人とは、積極的な会話をしようとします。実際に、雑誌を受け取ろうとする日本人は決して多くないので、関心を示す人と話すことは、彼らにとって喜ばしい伝道の時間となるのです。

また、単にその場で雑誌を渡すだけでなく、そこから定期的な聖書レッスン*[8]に結びつけることも、彼らにとって大切な目的の一つです。

まずは気軽に話しかけてみる

駅前のエホバの証人へ伝道を試みる場合、まずは気軽に話しかけてみるとよいでしょう。例えば、配布中の雑誌を受け取り、次のような自然な会話の流れに発展させるのもありです。

「よろしければ、一冊、いただけますか?・・へぇ、今月はこんなテーマを扱っているんですね。私はクリスチャンなんですけど、時々エホバの証人の雑誌を読むこともあるんです。」

このように、自分がクリスチャンであること、時々エホバの証人の雑誌を読むこと、などを伝えておくと、後々本題に入っていく際に、自然な流れで展開しやすくなるはずです。

次に、受け取った雑誌をその場でめくりながら、雑誌のテーマについて質問をしたり、別の扱いたいテーマに話を振ってみることができるでしょう。

わかりやすいテーマを選ぶ

駅前の場合は、自宅へ招いた時ほど落ち着いて話せるわけではないので、その場で完結するわかりやすいテーマが良いでしょう。「予言の失敗」や「改ざん問題」などは、別途資料の用意が必要であるため、駅前で扱うには難易度が高いかもしれません。代わりに、比較的簡潔でわかりやすいテーマを選ぶのが良いでしょう。

また、キリスト教のトラクトや冊子を渡すこともできます。断ってくる可能性は高い*[9]ですが、その場合は、「なぜ受け取れないのか」という理由を尋ね、マインドコントロールの問題を指摘することができるかもしれません。

そして、その場で論破するにしても、トラクトを渡すにしても、その際の注意点や方法は、本記事の「訪問された場合」で既に述べた点をよく参考になさってください。

後日の研究へ繋げる

「よかったら、今度ゆっくり、エホバの証人の教えについてお話を聞いてみたい。」と言えば、お住まいの地域に住んでいるエホバの証人が、後日ご自宅を訪ねてくれます。そこから、じっくりと定期的な話し合いを展開していくことができるでしょう。

またこの時に、必要であれば、「真理の重要性を相互に確認する」で紹介したようなことを伝え、互いに聖書の真理について話し合う必要性があることを強調すると良いでしょう。

また、このような流れを想定する場合は、駅前の会話の時点で、相手の教理や組織の矛盾を指摘するのは控えた方が賢明です。エホバの証人の伝道の目的は、あくまで「ふさわしい人を捜し出す」(マタイ10:11)ことであり、はじめから批判的な人に対して、時間を割くことは賢明でないと彼らは考えるからです。

脚注

[1] 中澤啓介『パンドラの塔』2000年、239頁。

[2] この点で、協会がかろうじて引用しそうな聖句として、「この教えを携えないであなた方のところにやって来る人がいれば,決して家に迎え入れてはなりませんし,あいさつのことばをかけてもなりません」(第二ヨハネ10)が思い浮かびますが、文脈上、この警告はキリストの受肉を否定したグノーシス主義者たちのことであり、現代の正統的な信仰を持つクリスチャンには当てはまりません。また、「あいさつの言葉をかけてはなりません」とある以上、この聖句が適用されるなら、そもそもキリスト教徒の家に伝道に来るべきでは無い、ということになります。

[3] エホバの証人側の視点としても、(1)「留守で会えない」という事態を避けることができる、(2)メールや電話等の連絡も、毎月提出する奉仕報告の「再訪問件数」と「奉仕時間」にカウントでき、数字を上げることができる、等のメリットがあります。ちなみに、メールの返信を一回するだけでも、「再訪問+1」としてカウントされます。

[4] 全てのエホバの証人は、毎月「伝道時間数」「再訪問数」「研究司会」「配布した雑誌・書籍の数」などを、奉仕報告として地元の会衆へ提出しています。この報告は、すべてのエホバの証人の伝道者に課せられている義務です。

[5] エホバの証人は新生していないので、聖霊の内住はありません。また「自分たちは唯一の組織に属している」と信じているので、屈折した選民意識を内側に抱いている場合もあります。そのため、伝道の際に「相手を自分よりも上だと思ってへりくだった思いを持つ」ことを難しく感じるJWは少なくないでしょう。

[6] この教材では、伝道に役立つ普遍的な原則を学べます。特に役立つと思われるのは、一貫して言われている「変えられるのは自分の行動と態度だけ」、また第3回の1「過去から未来に向かって導く」の図です。人の行動を変えるには信念を変える必要があり、信念を変えるには経験を変える(新しい経験を与える)必要がある、という視点です。
一例として、聖書を文脈に沿って字義通りに読めば、統治体の助けを借りなくても聖書の著者の意図を理解できることに気付かせる(新しい経験によって信念を変化させる)ことが必要です。

[7] 『王国宣教』2013年7月号を参照。なお、信者間での呼び方は、他にも「カートの奉仕」「スタンド奉仕」などバリエーションがあります。

[8] エホバの証人の間では、古くから「聖書研究」という表現が用いられてきましたが、最近では「聖書レッスン」という表現も多用されるようになってきています。「聖書レッスン」という表現の方が馴染みやすいからだと考えられます。

[9] カートの証言の場合は、近くで待機しながら見守っている仲間の信者がおり、組織のルールを破らないよう互いの目を気にしますので、受け取る可能性はかなり低いでしょう。


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