紀元一世紀のクリスチャン人口(キリスト教徒)は何人ですか?|144000人の実体


パウロの宣教旅行地図

エホバの証人は、144000人に関する独特な教理を持っており、その教えはものみの塔の教理構造において極めて重要な位置を占めています。そして、彼らは144000人が、「主に紀元一世紀のクリスチャンと、エホバの証人の油注がれたクリスチャンによって構成される」と理解します。

したがって、この教理が成り立つためには、紀元一世紀のクリスチャン人口が、間違いなく144000人以下で無ければなりません*[1]。もしも、その人口が144000を大きく上回るようであれば、この教理は破綻することになるのです。では、証拠は何を示しているでしょうか?

世界キリスト教百科事典より

複数のデータによれば、紀元一世紀末時点におけるクリスチャン人口の推定は「100万人」です。この数字は、世界キリスト教百科事典の以下の表にて、当時の人口統計と合わせて詳しく記載されています。

<世界統計表8>キリスト教の伸展と世界伝道 AD30~2000
【AD100年時点】(単位100万)
――――――――――
世界人口:181.5
キリスト教徒:1.0
伝道に接した人々:50.8
キリスト教徒の割合:0.6%
伝道に接した人々の割合:28.0%
――――――――――

<世界統計表8>キリスト教の伸展と世界伝道 AD30~2000年

このように、当時のクリスチャン人口だけでなく、世界人口に対する割合や、伝道に接した人々などの統計も出ていることがわかります。

さらに以下の表では、地域ごとのクリスチャン人口の数値も出ています。(画像をご覧下さい。)

<世界統計表21>キリスト教の伝播および世界伝道の状況 AD30~2000
【AD100年時点】(単位100万)※以下、キリスト教徒人口のみ抜粋します。
――――――――――
アフリカ:0.4
ヨーロッパ:0.3
南アジア:0.3
他の地域:0
――――――――――

<世界統計表21>キリスト教の伝播および世界伝道の状況 AD30~2000年

クリス・パーク博士(ランカスター大学)より

ランカスター大学のクリス・パーク博士は、以下でダウンロードできる論文「RELIGION AND GEOGRAPHY」の15ページ目で、一世紀のクリスチャン人口の推定が100万人であったと記載しています。

RELIGION AND GEOGRAPHY

以下、該当箇所の抜粋
――――――――――
(英語の原文)Christian preachers and missionaries. It spread first to Samaria (in northern ancient Palestine), then to Phoenicia to the north-west, and south to Gaza and Egypt. Afterwards it was adopted in the Syrian cities of Antioch and Damascus, then subsequently in Cyprus, modern Turkey, modern Greece, Malta and Rome. It spread fast, and numbers quickly grew. Within the first century there were an estimated million Christians, comprising less than one per cent of the total world population.

(日本語訳)それは最初にサマリア(北部の古代パレスチナ)、次に北西はフェニキアへ、そして南はガザとエジプトに広がった。 その後、シリアの都市であるアンティオキアとダマスカスで、そしてキプロス、(現代の)トルコ、(現代の)ギリシャ、マルタ、ローマで公認された。 それは急速に広まり、数は急速に成長した。1世紀中には、世界中の人口の1%未満を占める百万人のキリスト教徒がいたと推定される。
――――――――――

このように、紀元一世紀のキリスト教人口の推定が「100万人」であったことは、専門家による複数の資料において、一貫して提示されており、144000人を優に越えています。仮に、これらの数字に大きな誤りがあり、実際の総数がその半分以下であったとしても、やはり144000人を遥かに越えてしまうのです。

脚注

[1] 参考までに、ものみの塔の教理では、144000人の選びの多くが終了したのは1930年代となっていますが、その時点のエホバの証人の信者数は5万人程であったと推定されます。ですから、144000人の教理が実際に成り立つためには、紀元一世紀のクリスチャン人口が10万人以下で無ければなりません。


おすすめ

2件のフィードバック

  1. 山下一弘 より:

    もう少し詳しくお願いします

    • Webmaster-GJW より:

      ご購読ありがとうございます。本テーマについて、他にどんな点の詳細を気になっているか、お伝えいただくことはできますか?

Webmaster-GJW へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です